外国人(らしき人)からメッセージが来た

フェイスブックをしていると、いろんな人からいきなり友人申請が来ます。

 

基本的に私は、無言の申請が来たときは、特に共通の友人や共通の経歴といった、心当たりがない限りお断りしていますが、ある日うっかりプロフィールを確認するつもりで承認してしまいました。

 

しまったー! と思いつつ、そこで友人解除すればよかったのですが、ぬか喜びさせるのもなんだかなあと思ったので(なぜか)、一言適当にメッセージであいさつをしました。

 

ドイツ出身のアメリカ在住の人っぽかったので、とりあえず英語で。 すると丁寧な返事が返ってきました。わからない箇所はグーグル翻訳で調べて、向こうの質問には無難に答えて、といった具合に、ほぼチャット状態です。 相手さんの話によると、報道関係の方で、現在シリアで戦場カメラマンをしているとのこと。

 

嘘だあ、嘘だあと思いつつ受け答えしていましたが、現地らしい写真も数枚送ってくれました。 大変な仕事ですので、『God bless you』と返したら、妙に感動されて、それからものすごい勢いでハートを飛ばし始めました。

 

いや、普通の声掛けだと思うのですが、今思うと、とにかくハート飛ばしモードに入るきっかけは何でもよかったのではないかと思います。

 

まあそれはもう、定番の口説き文句は一通り吐いてきました。会いたい、会いたいとしきりに言ってきました。実際に言われるのは初めてでした。

 

その定番の口説き文句を吐こうと話題を操作しようとする相手と、それを言わせまいと話題をそらす私との攻防戦が、実に2週間にわたり繰り広げられました。全部英語で。

 

シリアと日本はおよそ6時間の時差があるのですが、彼はそこもきちんと計算に入れて登場します。例えばこちらが午後の1時ごろになると『起きた』と言ってきます。

 

向こうでは朝の7時ぐらいです。夜間23時頃に『そこにいる?』と声をかけてきます。向こうでは夕方5時ごろです。

 

不思議なことに、『明日話そう』と言うんですが、毎回彼は1日おきに出現します。

 

それにしても、シリアでの報道の仕事は、こんな見ず知らずの女性とメッセージをやり取りしているような暇はないのではないかと思います。

 

向こうの友人申請があってから2週間ほどたったある日、E-mailを送るからアドレスを教えてと言ってきました。自分の正直な気持ちを伝えたいと。

 

そこで私は捨てアドレスを教えました。彼は『勇気がない。きっと君はこれを読んで僕への印象を悪くするに違いない』と、ずいぶん尻ごみをしている様子でしたが、なんだかんだで送ってくれました。

 

内容は……まあ、いつもメッセージで私に対して言っていることとほぼ同じでした。 ただ……私が彼に対して悪印象を持つかもというのは、内容のことではないということが明らかになります。

 

文章の一部がどうしてもわからず、翻訳を使っても役に立たないので、そのままコピペして、普通に検索にかけてみました。 すると、なんということでしょう、メールとまったく同じ文面がそのまま検索に引っかかったではありませんか!

 

要するに、私だけでなく、他の女性にも同じメールを送っていたのです。同じメールを送られた彼女は、Q&Aのサイトにその文面をそのまま載せて、和訳をお願いしますと言っていました。

 

これを見て騙されたとようやく確信した私は、即彼女にその旨を伝え、二人仲良く彼をブロックしました。 一日おきに私のところにレスを返していたのは、きっと、彼女と一日おきの交代だったんでしょうね。

 

一体彼は、何をしたかったのでしょうか。出会いだったのか、それとも個人情報だったのか。それにしても、かなり非効率的ですし、リスクも高いような気もします。 後日送られてきた写真を検証してみると、シリアでの車の中の写真で、ハンドルが右にあるのはおかしいというのに気づきました。

 

シリアでは、左ハンドルです。彼の所属であるはずのアメリカでも、左ハンドルです。でも写真は右ハンドルです。おかしい。なぜその時は気づかなかったのか。

 

相手を信じさせるために英語を使ったり、戦地の情勢を利用したりしたことは許せませんが(もしかしたら本当は日本人かもしれない)、あのそれらしい写真はどうやって撮ったのか、きっと仲間を募って、それらしい場所で色々工夫して撮ったのだろうとか、その陰での涙ぐましい努力を思うと、なんとなく複雑な思いです。 彼がこんな手段でなくても、幸せな出会いをすることを祈ります。